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Common Europe Congress 2023|イベント出展レポート #2  講演編

2023.07.18

前回のブログに続いて、COMMON Europe 参加レポート 第2弾です。今回は下野が投稿します。COMMON Europe は ヨーロッパのIBM i ユーザーが年1度開催するイベントです。毎年開催都市が変わり、今年はプラハで開催されました。

私たちの参加の目的は API-Bridgeを中心とした弊社プロダクトの海外展開です。まずはヨーロッパのユーザーの方にオムニサイエンスを知っていただくということで、日本のIBM i ユーザートレンドをテーマにプレゼンの機会をいただきました。講演後、多くの方が話しかけてくれたり、フィードバックをくれたため、非常にいい経験になりました。当ブログでは、私がイベントで講演した内容を簡単にご紹介したいと思います。

日本のIBM iの使われ方

まず、現在の日本におけるIBM iの活用のされ方や新しい採用パターンなどを紹介しました。海外との違いでいうと、ヨーロッパでは金融機関でも多く IBM i を使われている印象を受けました。特に北欧の金融機関の方に何名か弊社が出展していたブースに来ていただきました。日本の金融機関では IBM Zが使われていることが多い印象があります。それと比較すると、日本のIBM i ユーザーは製造業、流通業が相対的に多い印象を受けました。

今日現在も、日本では他の国よりも、IBM i を新規採用されているケースが多いと感じます。最近だと、IBM以外のCOBOLが稼働する汎用機やオフコンが、開発や製品提供を中断してきている影響で、COBOLマイグレーションが増えていると聞いてます。また弊社でIBM Cloudのご支援をしていると、IBM iで稼働する業務パッケージを新規採用しているケースも多くあるように感じます。IBM CloudでIBM i が利用できるようになったことで、そうした業務パッケージを初期費用なしでSaaS的に使えることも、IBM i の新規採用を増やしているようです。

このように日本で IBM i がどのように活用されているかをご紹介した後、API、PowerVS、GPTをキーワードとして、ご紹介しました。

日本での IBM i 利用状況

IBM i × API

続いて、APIについてお話ししました。今回、COMMONのセッションでも、たくさんAPIという言葉を聞きました。日本よりも更にAPIが、IBM i の世界でも、一般的に使われるようになっている印象を受けました。弊社ではIBM i をAPIで連携できるようになるAPI-Bridgeというプロダクトを自社開発・販売しております。API-Bridgeの導入支援を通じて、IBM i をAPI連携することのメリットを紹介しました。

API連携というと、IBM i の基幹システムを取引先に公開するようなイメージを持たれることがありますが、そうした利用法ではなく、ほとんどのお客様が、Webアプリなど社内システムとIBM i を連携するためのプロトコルとしてAPIを採用しています。バッチ連携なら従来からあるETLが向いているが、ETLは高いし、リアルタイム連携ならAPIが向いているという声をよく聞きます。

社内システムとIBM i の連携にAPIを採用するのは、IBM iに詳しくない技術者でも、IBM iの業務ロジックやデータを活用したシステム開発に参画できるからです。昔から IBM i のアプリケーションロジックやデータベースをリアルタイムに実行するWebアプリケーション開発を行うことは可能でしたが、技術的なハードルがかなり高く、WebもIBM i も、そして、アプリケーション構造も理解しているスーパーマンのような方がいらっしゃらないと、なかなか開発できないのが、現実です。仮にいらっしゃったとしても、複数名いらっしゃることはなかなかないので、その方に依存したスケジュールや、後任の育成が困難になるケースがよくあります。

また、APIの新たな使い方もご紹介しました。AWSのS3ストレージやBoxへのバックアップなど、IBM iのインフラ運用で活用する方法です。IBM i というOSがプログラムの実行環境、データベース、そして、インフラ管理まで幅広い機能を持っていることから対象になります。

IBM i をAPIサーバー化する際のメリット
IBM i のバックアップをboxへ

PowerVS(IBM Cloud)

APIのお話に続き、PowerVSをテーマにお話ししました。PowerVSとは、IBM CloudでIBM i が稼働するサービスです。正式名称は Power Virtual Serverです。オムニサイエンスでは、2021年に注力しはじめ、これまで数々の企業でPowerVSの導入経験を積んできました。その経験から、PowerVSがなぜ採用され、導入後にお客様が感じるメリットについてお話ししました。

①バージョンアップが簡単になり、トライ&エラーがコストを気にせずに行えること。その結果、IT部門の対応スピードが飛躍的に向上します。
②低価格で簡単なBCPも実現できます。バックアップを東京や大阪など複数拠点があるIBM Cloudのデータセンターに、バックアップを送っておき、そのバックアップを利用して、各データセンターで起動することができます。

IBM CloudやPower Virtual Serverの機能拡張によって、ますます使いやすくなっており、今後、PowerVSは益々シェアが高まっていくと考えています。

IBM i を IBM Cloudで動かすメリット

GPT(生成型AI)

最後に、GPTについてご紹介しました。ChatGPTはまだ新しい技術ですが、IBM iユーザーや特に日本のIBM iユーザーにとって非常に有益なツールとなるでしょう。ChatGPTは、英語のソースを学習データに含まれており、言語の壁を越えてくるため、日本語でChatGPTに問いかけても、世界中の情報ソースを元にした回答が出力されます。プログラミング言語に関する情報は日本語の数十倍はあるため、回答精度は大幅に向上します。

ChatGPTはIBM i に関わらず、プログラミングのサンプルを出力し、やり取りをする中で修正し、サンプルの質を改善していくことに極めて優れています。もちろんRPGやCOBOLでも同様のことが可能です。RPGやCOBOLは固定長であるため、よりChatGPT向きなのではという話も聞きます。

こうしたサンプルプログラムの出力以外にも、IBM i の機能説明をしてもらったり、JavaからRPGへの変換やその逆変換を行うこともできるでしょう。また、インフラの特性(IBM i の場合、データベースの安定性、パフォーマンス、資産継承性など)を踏まえた上で、要件に応じて、最適なプラットフォームで稼働するように、ChatGPT側でプログラム言語を選択した上で出力されるようになるかもしれません。

今はRPGの学習コストが高いため、敬遠されてしまっている可能性がある IBM i も、コードが自動出力される時代になれば、今まで以上に改めてIBM i が注目されるようになるかもしれません。こういった形で、IBM i を利用している企業の課題は、ChatGPTとの相性がいいのではないかというディスカッションも増えているように感じました。

ChatGPTの利用例

こういった趣旨で、講演をしてきました。IBM i の世界は今も進化を続けています。ぜひ一緒に、これからのトレンドを共創していけると嬉しいです。

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