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ITインフラとは?重要性と構築から運用までの流れや注意点をわかりやすく解説

2023.07.03

近年、働き方改革が推進され、在宅勤務やテレワークの普及が進む中、多くの企業が業務効率化のために自動化ツールを導入しています。その背景には、ITインフラの重要性が深く関わっています。ITインフラは、企業が円滑に運営するために必要な情報基盤ですが、その役割や重要性が理解されていない場合もあります。本記事では、ITインフラの基本的な概念や構築・運用時の注意点をわかりやすく解説します。

ITインフラとは

ITインフラとは、情報技術(IT)インフラストラクチャーの略称で、企業や組織が日々の業務を遂行するために不可欠な基盤を指します。一般的に「インフラ」といえば、電気やガス、上下水道、交通網といった物理的な基盤を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、ITインフラは情報システムを円滑に運用するための基盤です。具体的には、ネットワーク、サーバー、ストレージ、データベース、ソフトウェア、そしてセキュリティシステムなどが含まれます。これらの要素が相互に連携し、機能することで、企業は安全かつ効率的に業務を進めることができる環境を整えることが可能となります。

ITインフラの構成要素 

ITインフラは、大きくインフラストラクチャー(ハードウェア)とアプリケーション(ソフトウェア)に分かれます。ハードウェアは、物理的な基盤であり、サーバーやネットワーク機器などが含まれます。一方、ソフトウェアは、業務を支援するためのツールやシステムで、メールや Web ブラウザなどがその例です。これらの構成要素が連携して、企業活動を支える ITインフラが成り立っています。

ハードウェア

種 類 用 途
パソコン パソコン(パーソナルコンピュータ)とは、個人が使用するために設計されたコンピュータのこと。幅広い業務や作業に利用されます。
サーバー サーバーとは、ネットワーク上で他のコンピュータやデバイスに対してデータやサービスを提供するコンピュータ。例えば、ウェブページを表示したり、ファイルを共有したり、データベースを管理するなどの役割を果たす。
ストレージ データを保存する装置。ファイルやデータベースの安全な保管を実現する。
ネットワーク デバイス間でデータを送受信するためのインフラ。通信やインターネット接続を提供する。

ソフトウェア

種 類 用 途
OS オペレーティングシステム。ハードウェアを制御し、アプリケーションが動作する基盤を提供するソフトウェア。OS はハードウェアと密接に関係しており、CPU への命令や主記憶装置の管理などを実施する。
ミドルウェア OS とアプリケーションの間で動作し、システムやデータベースの運用をサポートするソフトウェア。

ITインフラが重要視される3つの理由

ITインフラは、業務の効率化、働き方改革の推進、企業の競争力強化に貢献するため、現代社会でますます重要視されています。特に、テレワークやリモートワークの普及に伴い、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支える基盤として、その役割が拡大しています。

業務の効率化

ITインフラが充実していると、情報の一元化が進み、社内の連携がスムーズに行えるようになります。例えば、ネットワークやサーバーを適切に管理することで、社員同士が同じデータにアクセスでき、リアルタイムでの情報共有が可能となります。これにより、手作業が減少し、業務の効率が大幅に向上します。また、データのバックアップやセキュリティ対策も強化でき、業務全体の信頼性も高まります。

働き方改革の実現

ITインフラが整備されることで、テレワークやリモートワークが円滑に進む環境が整います。例えば、クラウドベースのシステムを活用することで、社員はオフィスにいなくても業務システムに安全にアクセスできるようになります。また、社内外での業務環境が統一されるため、場所を問わず働くことができ、効率的な働き方が可能です。これにより、従業員のワークライフバランスの向上が実現します。

競争力の強化

優れた ITインフラを持つ企業は、優秀な人材を惹きつけ、持続的な成長が可能です。例えば、クラウド型システムを活用することで、企業は柔軟に新しい技術を導入しやすく、業務のスピードアップが図れます。また、インフラが整備されることで、サイバーセキュリティ対策やデータ管理の信頼性が向上し、企業全体の競争力が強化されます。これにより、他社との差別化を図りやすくなります。

ITインフラの構築から運用までの流れ

ITインフラの構築から運用までには、複数のステップがあります。これらのステップを適切に実行することにより、企業の ITインフラが安定し、長期的に安全かつ効率的な運用が可能となります。この章では、ITインフラの構築から運用までの一般的な流れを詳しく解説します。

1.要件定義

ITインフラ構築の最初のステップは要件定義です。顧客や企業のニーズに基づき、どのようなシステムを構築すべきかを明確にするため必要な工程で、ヒアリングを重ねます。例えば、必要なサーバーの容量やネットワークの速度、セキュリティのレベルなどを事前に確認し、要求事項を洗い出します。これにより、後々の工程での認識のズレを防ぎ、顧客との合意をもとに進行します。

2.開発・構築

要件定義に基づき、具体的なシステムを開発・構築していきます。この段階では、設計図に従ってハードウェアやソフトウェアを組み合わせてシステムを構成し、顧客の要望通りの ITインフラを作り上げます。設計段階でも顧客とのコミュニケーションを保ちながら進め、顧客の要望と相違がないかを検証しながら進めるのが大切です。また、障害や事故が発生した際の対応策や、今後の拡張性を見据えた柔軟な設計も非常に重要です。

3.テスト

構築が完了したら、システムが計画通りに機能するかどうかをテストします。通常運用時だけでなく、障害が発生した際の挙動やその対応策が適切かどうかも確認するために、さまざまな状況を想定し、テスト計画を作成します。実際に障害が発生したことを想定したテストにするため、システム上でテストするだけではなく物理的なテストも行います。また、負荷テストやセキュリティテストも重要な項目の一つです。この過程で問題が発見されれば、迅速に修正し、システムの安定性を確保します。

4.運用

システムのテストが完了すると、顧客に引き渡し、実際の業務運用が開始されます。運用中は、システムが円滑に稼働しているかどうかを定期的に監視し、必要に応じて保守や修正を行います。ハードウェアの故障やソフトウェアのバグなど、予期せぬトラブルが発生することもありますが、テストで発見されなかった問題に対応するため、運用後の迅速なサポート体制も重要です。システムが安定して運用されることが、企業の成長に繋がります。

ITインフラを構築するときの注意点

ITインフラの構築は企業の業務運用を支える重要なプロセスであり、利便性、セキュリティ、拡張性やコスト管理のバランスを取ることなど様々な注意点があります。この章では、ITインフラ構築における重要なポイントを説明します。

運用範囲を幅広く利便性を高める

現代のビジネス環境では、社内外で業務を行う機会が増えています。ITインフラを構築する際には、オフィスだけでなく、リモートでも効率的に業務が行えるようなシステムを構築することが求められます。例えば、社員が社外からも安全に社内のシステムにアクセスできるようにクラウド型システムを導入することが効果的です。このような利便性を高めることで、柔軟な働き方が可能になり、業務効率が向上します。

セキュリティ対策は必須

ITインフラを構築する際、セキュリティ対策は避けて通れない重要な課題です。社内のシステムにアクセスできるのは、会社が承認したデバイスやユーザーのみに限定したり、一部のシステムやファイルなどは特別な権限のあるユーザーにしか利用できなくすることで、不正アクセスや情報漏洩のリスクを最小限に抑えることができます。さらに、最新のセキュリティプロトコルを適用し、外部からの攻撃を防ぐためのシステムを導入することで、企業全体の情報資産を守ります。

ITインフラを運用するときの注意点

ITインフラの運用では、システム障害時の対策やサーバーへの負荷対策、システム全体の管理・監視体制の強化が重要です。ここでは、ITインフラ運用における主な注意点を解説します。

システム障害時の対策

システムを運用する上でシステム障害は避けられない現象ですが、迅速かつ的確に対応するためには、事前に対策を講じておくことが不可欠です。具体的には、障害が発生した際の対応手順をマニュアル化し、障害対応にあたる者が誰でも同じパフォーマンスを発揮できる状態を作ることが重要です。また、定期的な訓練や障害対策の見直しも重要です。障害時に迅速に対応することで、ビジネスの中断を最小限に抑えることができます。

システム全体の管理・監視体制の強化

ITインフラは、24時間365日体制で運用されることが一般的です。そのため、システム全体の監視体制を強化し、トラブルを早期に発見することが重要です。監視ソフトウェアを導入・適切な設定を行い、サーバーやネットワークの異常を即座にキャッチできる仕組みを整えることで、問題が大きくなる前に対応できる可能性が高くなります。このような監視体制の徹底、早期発見が、安定したシステム運用を支える鍵となります。

サーバーにかかる負荷を分散

サーバーにかかる負荷を分散することは、ITインフラの安定運用に欠かせません。サーバーに過度な負荷がかかると、システム全体の速度低下や障害が発生するリスクがあります。そのため、負荷がかかりにくいシステムづくりや、複数のサーバーを使ってアクセスを分散させるロードバランシングの導入が効果的です。また、定期的にバックアップを取ることで、万が一の障害発生にも備えておくことが必要です。

ITインフラはオンプレミス型からクラウド型へ 

ITインフラには、オンプレミス型とクラウド型の2形態があります。従来、ITインフラは、サーバーやネットワーク機器を自社で購入し、自社の建物内に設置・運用するオンプレミス型が主流でしたが、近年はクラウド型への移行が進んでいます。ここでは、オンプレミス型とクラウド型の違い、そしてクラウド型が選ばれる理由について説明します。

オンプレミス型とクラウド型の違い

オンプレミス型の特徴として、自社専用の ITインフラをカスタマイズできる点が挙げられます。これにより、特定の業務やセキュリティ要件に合わせてシステムを最適化でき、機密性の高いデータを扱う場合には、セキュリティ面での強みがあります。しかしながら、導入時の初期投資が非常に高額であり、メンテナンスや運用にも多大なコストと労力がかかるのが課題です。

一方、クラウド型は外部のクラウドサービスプロバイダーが提供するサーバーやネットワークをオンラインで利用する形態です。クラウド型の最大の利点は、初期投資が少なく済むことです。クラウド型ではサーバーの運用やメンテナンスをプロバイダー側が担当するため、自社での管理負担が軽減されます。これにより、コスト削減や業務の効率化が可能となります。

今後クラウド型へ変化していく理由

クラウド型の ITインフラが急速に普及している理由は、オンプレミス型が抱える課題を解決し、クラウド型のメリットが多いことにあります。例えば、初期投資が少なく済み、必要に応じてリソースを拡張できるため、企業の成長に合わせて柔軟に対応が可能です。また、クラウド型はメンテナンスやセキュリティ対策がサービスプロバイダーによって提供されるため、運用コストやセキュリティにかけるコストが削減されます。企業はこれにより、自社の業務に集中し、効率的な ITインフラの運用が可能となります。

ITインフラエンジニアに必要なスキル

ITインフラエンジニアに求められるスキルは、「ネットワークやサーバーの構築」「セキュリティ対策の構築」そして「システムの運用や保守ができること」です。近年では、オンプレミス型だけでなく、クラウド型ITインフラに関する知識や技術も必要です。さらに、運用中にトラブルが発生した場合には、迅速かつ的確に対応できる柔軟性と問題解決能力が求められます。これに加え、顧客の要件を正確に理解し、反映させるコミュニケーションスキルも重要です。

まとめ

ITインフラは、企業が業務を遂行するための基盤として、非常に重要な役割を果たしています。ITインフラの整備が進むことで、業務の効率化やテレワークの促進、競争力の強化が期待されます。特に、近年ではクラウド型インフラが主流となり、これまでのオンプレミス型では対応できなかった課題を解決する柔軟性を持っています。一方で、ITインフラの構築・運用には多くの注意点が存在し、インフラエンジニアは高度な技術とスキルを駆使してこれに対応する必要があります。これらを理解し、正しく運用することが企業の成功につながるのです。