
2024年7月、IBM i ユーザーと関係者の皆さまへ向けた書籍『IBM i 2030 AI・API・クラウドが創る』を出版いたしました。本書の内容をより多くの方にお伝えするため、当ブログでは各章の要点を連載形式でサマリーとしてご紹介いたします。本記事では全体像を簡単にご理解いただき、さらに詳しく知りたい方はぜひ書籍の詳細をご覧ください。
今回は、【第7章(2/2)】デジタル人材の需要増、シニア化、人口減少(本書P.167~)の内容をまとめています。
情報システム部における業務変革がもたらすこと
APIやクラウド、AIの登場により、システムの実装が高速化し、業務とIBM i に精通した担当者も仕事の一部を外部委託しやすくなりました。しかし、業務変革は容易ではなく、人は慣れた作業を続けがちです。経営課題に集中するためには、ルーティン業務を手放せる環境の整備が求められます。
企業が変革を進めるには、ツール導入や外部委託によるコスト負担が発生するものの、成長には欠かせません。特に、個人の業務変化は難しく、基幹システム業務であっても外部委託やメンバーの再配置によって、新たな業務への取り組みを促進できます。
私たちは、こうした変化の難しさを理解しているからこそ、情報システム部門が業務変革を実現できる環境づくりを支援していきたいと考えています。
自社で継続すべきデータベースの基本設計
新しい技術の登場により、業務の役割分担が明確になり、一部の業務を外部委託しやすくなりました。しかし、データベースの設計は自社で行うべきです。IBM i を活用する企業にとって、独自のデータベース設計は大きな強みであり、外部委託すると業務変革の際に迅速な意思決定が難しくなる可能性があります。
課題として、システムの方向性に合意していても、現在の支援会社が強く反対するケースが見られます。外部委託自体は有効ですが、委託先に主導権を握られないことが重要です。そのため、システムの設計部分は自社で管理し、リーダーシップを発揮する必要があります。
IBM i に限らず、開発全体を委託先に依存するケースがありますが、特にバックエンドの設計は内製化すべきです。これは業務のシステム化に直結し、自社がデータベース構造を把握していれば、主導的に取り組みを進められます。新しいツールやサービスが増える中、これらを活用しながら業務変革を進めることが重要です。
システム設計のノウハウを自社に蓄積することは、IBM i 上のカスタムシステムを維持するうえで不可欠です。もし設計部分を手放すなら、ノンカスタマイズのERP導入が選択肢となりますが、その場合、現在のカスタムシステムによる競争優位の一部を手放すことになる点は考慮が必要です。
外部へのサービス提供と強固な開発体制の構築
労働人口の減少により、情報システム部門の人材確保が難しくなっています。予算に余裕があればデジタル人材を多く採用できますが、多くの企業にとっては厳しい状況です。この解決策の一つとして、情報システム部門が外部向けにサービスを提供し、プロフィット・センター化することが挙げられます。「稼ぐIT部門」として収益を生み出せれば、人材確保がしやすくなり、次世代への投資や業務の効率化も進みます。
2015年頃、ある製造業のお客様から「カスタムメイドのアプリは競争力の源泉だが、中堅企業ではデジタル人材の確保が難しく、情報システムの維持が困難になる企業が増えている。結果として、システムを維持し続けられる企業とそうでない企業で、命運が分かれることになる」と言われたことを今も鮮明に覚えています。
現在、特にIBM i を活用する企業では、外販を進める動きが増えています。IBM i は管理が容易であるため、少人数でも多くの顧客にサービスを提供しやすく、提供先が増えるほど新機能への投資もしやすくなります。この傾向は近年強まり、今後も続いていくでしょう。
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