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電子取引とはなにか?電子帳簿保存法改正のポイントなどもともに解説

2023.02.12

電子取引の概要や具体例、そして密接に関連する電子帳簿保存法の概要、導入によるメリット・デメリット、さらに近年の改正ポイントや電子データの保存義務化について詳しく解説します。電子取引の導入は、業務の効率化やコスト削減に寄与する一方で、法令対応や社内体制の整備が求められます。本記事では、電子帳簿保存法の要点や最新の改正内容を分かりやすくまとめ、企業がどのように対応すべきかの指針を示します。これから電子取引を導入・活用する企業にとって有益な情報となるでしょう。

電子取引とはなにか解説

電子取引とは、商取引における注文書、請求書、領収書などの取引情報を紙媒体ではなく電子データとしてやり取りすることを指します。具体的には、電子メール、EDI(電子データ交換)、インターネット上のフォーム入力、クラウドサービスの活用など、さまざまな手段を通じて取引情報を交換する形態が含まれます。

このような電子的な手段を用いることで、取引の迅速化と効率化が可能となります。従来の紙ベースの取引では、書類の作成・印刷・郵送・保管といったプロセスに多くの手間や時間がかかり、人為的ミスのリスクも存在しました。しかし、電子取引を導入することで、これらの業務が大幅に簡素化され、コスト削減にもつながります。

また、電子取引の導入は環境負荷の低減にも貢献します。ペーパーレス化を進めることで、紙の消費量を削減し、持続可能なビジネスモデルの構築が可能になります。さらに、取引データの電子化により、検索や管理が容易になり、内部統制の強化にも役立ちます。

今後、電子帳簿保存法やインボイス制度などの法制度対応を進める中で、多くの企業が電子取引の導入を加速させることが求められています。効率的な業務運用と法令順守の両立を図るためにも、適切な電子取引システムの活用が重要となるでしょう。

電子取引の具体例

電子取引の具体例としては、以下のようなものがあります:

電子メールでの請求書送付:取引先に請求書をPDF形式で電子メールに添付して送信する。
クラウドサービスの利用:請求書発行システムや受発注管理システムなどのクラウドサービスを介して、取引情報を共有・管理する。
EDI(電子データ交換)システムの利用:企業間での受発注情報を専用の回線やネットワークを通じて電子的に交換する。
ウェブサイトからのダウンロード:取引先のウェブサイトから請求書や領収書をダウンロードして受領する。
キャッシュレス決済の利用:クレジットカードや電子マネー、スマートフォン決済アプリなどを利用した際の利用明細や領収書を電子データで受け取る。

これらの方法により、取引情報のやり取りが迅速かつ効率的になり、紙の書類を介さないため、保管スペースの削減や情報検索の容易さといったメリットがあります。

電子帳簿保存法とは

電子帳簿保存法とは、企業が税法に基づいて保存すべき帳簿や書類を電子データで保管する際のルールを定めた法律です。1998年に施行されて以来、デジタル化の進展に伴い何度も改正が行われています。この法律の目的は、企業の業務効率化やペーパーレス化を促進し、税務手続きの合理化を図ることにあります。特に、デジタル技術を活用した書類管理の整備を進めることで、経理業務の負担軽減やコンプライアンス強化が期待されています。

具体的には、仕訳帳や総勘定元帳などの国税関係帳簿や、請求書・領収書・契約書などの取引関係書類を電子データで保存するための要件が定められています。特に、電子取引による取引情報の授受については、適切なデータ保存が求められ、真実性(改ざん防止)や可視性(検索・閲覧の容易さ)を確保するための条件を満たす必要があります。例えば、タイムスタンプの付与や、検索機能の確保、改ざん防止措置などが必要とされます。

近年の改正により、電子取引データの保存義務が厳格化され、企業は適切な電子帳簿保存システムを導入し、法令対応を進めることが求められています。これにより、従来の紙ベースの管理からデジタル管理への移行が進み、業務の効率化やコスト削減が実現しやすくなります。企業は法改正の動向を注視しながら、適切な対応を行うことが重要です。

制定の背景

電子帳簿保存法が制定された背景には、情報技術の進展と企業活動のデジタル化があります。1990年代後半から、企業の会計処理や文書管理の電子化が進み、書類を電子データで保存・管理するニーズが高まっていました。しかし、当時の税法では帳簿や書類の紙での保存が義務付けられており、電子化が進む中で企業の負担となっていました。

そこで、税務手続きの現代化と企業の業務効率化を目的として、1998年に電子帳簿保存法が制定され、一定の要件を満たせば電子データでの保存が認められるようになりました。これにより、企業は紙の書類を保管する手間やコストを削減し、業務の効率化が進みました。また、ペーパーレス化による環境負荷の低減や、データの検索・管理の利便性向上といったメリットも期待され、企業のデジタル化を後押しする重要な法律となっています。

電子帳簿保存法のメリット

電子帳簿保存法に対応することで、以下のメリットが得られます:

業務効率とデータ検索のスピード向上:電子データとして保存することで、必要な情報を迅速に検索・閲覧でき、業務の効率化が図れます。
保管スペースの確保:紙の書類を電子データに置き換えることで、物理的な保管スペースを削減できます。
書面の入力精度の向上:電子データの活用により、手入力のミスを減らし、データの正確性を高めることができます。
セキュリティ・情報管理の向上:電子データはバックアップやアクセス制限が容易であり、情報の保全性や機密性を高めることができます。

業務効率とデータ検索のスピード向上

電子帳簿保存法に対応し、取引データを電子化することで、業務効率が大幅に向上し、データ検索のスピードも飛躍的に速くなります。紙の書類を保管・管理する場合、必要な書類を探すだけで時間がかかるうえ、整理やファイリングといった手間が発生し、物理的な保管スペースも必要になります。特に、過去の取引データを確認する際は、膨大な紙の資料から該当する書類を見つけるのに時間と労力がかかります。

一方、電子データとして管理すれば、検索機能を活用してキーワードや日付、取引先名などを入力するだけで、瞬時に必要な情報を取得できます。さらに、データの分類やフィルタリングも容易になり、業務の効率化に直結します。

また、クラウドサービスや社内システムを利用すれば、社内外からのアクセスが容易になり、リモートワーク環境でもスムーズに業務を遂行できます。他拠点とのデータ共有も効率的に行え、部門間の連携強化にもつながります。特に、大量の取引情報を扱う企業にとって、電子化による業務効率の向上は、生産性向上やコスト削減に直結する重要な要素となります。

このように、電子帳簿保存法に対応することで、書類の管理負担を軽減し、業務のスピードアップと最適化を実現できます。

保管スペースの確保

電子帳簿保存法に対応することで、紙媒体の書類を保管する必要がなくなり、オフィス内のスペースを有効活用できます。特に、大量の帳簿や請求書を管理する企業では、ファイリングや保管棚の削減が可能となり、コスト削減にもつながります。また、クラウドストレージの利用により、安全にデータを保存しながら省スペース化を実現できます。

書面の入力精度の向上

電子帳簿保存法に対応することで、データの一貫性が確保され、手入力ミスの削減につながります。システムによる自動入力やエラーチェック機能を活用することで、精度の高いデータ管理が可能になり、業務の信頼性が向上します。さらに、リアルタイムでのデータ更新や履歴管理も容易になり、監査対応や内部統制の強化にも貢献します。これにより、企業全体の業務効率が向上し、より正確でスムーズな取引が実現できます。

セキュリティ・情報管理の向上

電子帳簿保存法に対応することで、電子データの流出防止対策が強化され、企業全体のセキュリティレベルが向上します。特に、アクセス制限やデータの暗号化、認証機能の導入により、不正アクセスや情報漏えいのリスクを大幅に軽減できます。さらに、ユーザーごとに閲覧・編集権限を設定することで、不要なデータへのアクセスを防ぎ、情報の適切な管理が可能になります。

また、データのバックアップを複数の場所に保管することで、災害やシステム障害が発生した際にも迅速な復旧が可能となります。クラウドストレージを活用すれば、リアルタイムでのデータ同期や遠隔地への自動バックアップも実現でき、事業継続性の向上につながります。

さらに、バージョン管理や操作履歴のログ記録を導入することで、不正な改ざんや誤削除のリスクを低減し、安全で信頼性の高いデータ管理が実現できます。これにより、コンプライアンス強化や内部監査の効率化にも寄与し、企業のデジタルガバナンスをより強固なものにできます。

電子帳簿保存法のデメリット

電子帳簿保存法には以下のデメリットもあります。

  • 導入コストがかかる:電子帳簿保存のシステム導入や運用にコストが発生する。
  • 社員教育が必要:電子取引を扱う社員への教育や業務手順の見直しが必要となる。

導入コストがかかる

電子帳簿保存法に対応するためには、セキュリティ対策やデータ保存に関するシステムの導入が不可欠であり、初期投資や維持コストが発生します。特に、小規模企業にとっては、電子保存環境の構築や運用コストが大きな負担となることがあります。クラウドサービスや専用ソフトウェアの導入にはライセンス費用がかかるほか、データ容量の増加に伴うストレージ費用も考慮する必要があります。

また、データ流出を防ぐためには、アクセス管理、データの暗号化、バックアップ対策などの強固なセキュリティ対策が求められますが、高度なシステムを導入するほどコストが増加します。さらに、法改正への対応やシステムの定期的なアップデートも必要であり、それに伴う追加費用や運用負担も無視できません。企業は、自社の規模や業務内容に応じた適切なシステムを選定し、コストと利便性のバランスを取ることが重要です。

社員教育が必要

電子帳簿保存法に対応するためには、単にシステムを導入するだけでなく、それを正しく運用するための社員教育が不可欠です。電子帳簿保存法に適応したシステムを扱うには、データの保存方法や検索手順、セキュリティ管理などの知識が求められます。特に、経理や総務の担当者だけでなく、取引データを扱う全社員が基本的なルールを理解することが重要です。

また、従来の紙ベースの業務フローと異なるため、業務手順の見直しも必要になります。例えば、書類のスキャンや電子保存のタイミング、アクセス管理のルールなどを明確にし、適切な運用ができる体制を整えなければなりません。さらに、法改正への対応やシステムアップデートに伴い、継続的な教育と周知が求められる点も課題の一つです。

電子帳簿保存法改正のポイント

改正により、一定の要件を満たした「優良な電子帳簿」に対して、過少申告加算税の軽減措置が設けられました。具体的には、電子帳簿が以下の条件を満たす場合、税務調査で過少申告が判明しても、通常10%の加算税が5%に軽減される措置が適用されます(参考:弥生「2024年1月からの電子帳簿保存法改正による変更点」リンク)。

優良な電子帳簿の要件

・システムによる訂正・削除履歴の管理が行われている
・取引年月日や金額などで検索機能を備えている
・適切なバックアップが確保されている

これにより、企業が信頼性の高い電子帳簿を導入するインセンティブが生まれ、適切なデータ管理が促進されました。

電子取引データの保存義務化(概要のみ)

今回の改正では、電子取引のデータ保存が義務化されました。従来、電子メールやEDIで受け取った請求書や領収書を紙に印刷して保管することも認められていましたが、改正後は電子データのまま保存する必要があります。ただし、一定の要件を満たすことで、保存義務の適用が猶予されるケースもあります(詳細は次の見出しで解説)。

このように、2022年の電子帳簿保存法改正により、企業の電子帳簿導入が容易になり、優良な帳簿に対する税務上の優遇措置も設けられました。一方で、電子取引の保存義務化に伴う新たな対応が求められるため、企業は適切なシステム導入や運用体制の整備が必要となっています。

電子取引のデータ保存の義務化

2022年1月の電子帳簿保存法改正により、従来の取引でやり取りした書類の電子データを紙にプリントアウトして保存することが認められていましたが、改正後は電子データのまま保存することが義務化されました。これにより、電子メールやEDI、クラウドサービスなどを通じて受け取った請求書や領収書などの取引情報は、適切な形で電子保存しなければなりません(参考:大塚商会「電子取引の電子データ保存が義務化に」リンク)。

この改正の目的は、データの改ざん防止や業務の効率化を促進することにあります。電子データの保存には、検索機能の確保や改ざん防止措置(タイムスタンプの付与やシステムの訂正・削除履歴管理など)が求められ、企業はこれらの要件を満たす形で運用する必要があります。

この変更により、企業は電子保存環境の整備や社内ルールの見直しが必要となり、適切なシステム導入と運用が求められています。

真実性の確保

電子帳簿保存法では、電子取引データの保存において「真実性の確保」が求められます。これは、データの改ざんや不正な変更を防ぎ、取引情報の信頼性を担保するための要件です。適切なシステムや運用ルールを導入し、データの真正性を維持することが重要です。

真実性を確保するための要件

 1. タイムスタンプの付与
 取引情報の授受前後にタイムスタンプを付与することで、データが改ざんされていないことを証明します。これにより、取引の正当性を保証し、後からの不正な変更を防ぐことができます(参考:OBC)。

 2.訂正・削除ができないシステムでの管理
 取引情報を保存するシステムは、記録事項を訂正・削除した場合でも履歴が残る仕組みが求められます。これにより、後から内容を変更できない状態を維持し、不正操作を防止します(参考:キヤノン)。

 3.事務処理規定の策定と運用
 正当な理由がない訂正・削除を防ぐため、事務処理規定を策定し、それに基づいて運用することが求められます。社内で明確なルールを設けることで、適切なデータ管理が可能になります(参考:大塚商会)。

これらの対策を講じることで、企業は電子取引データの改ざん防止と適正な管理を実現し、法令順守を徹底できます。適切なシステムと運用ルールの整備が、企業のデジタル化推進にもつながります。

可視性の確保

電子帳簿保存法では、電子取引データを保存する際に「可視性の確保」が求められます。可視性の確保とは、保存したデータを適切に管理し、必要な情報を迅速に確認・検索できる状態にすることを指します。

可視性を確保するための要件

 1.電子計算機処理システムの概要を記載した書類の備え付け
 使用するシステムの仕組みや処理方法を記載した書類を用意し、税務調査時に説明できるようにしておく必要があります(参考:OBC)。

 2.検索機能の確保
 取引年月日、取引金額、取引先名などでデータを容易に検索できる機能を備えていることが求められます。これにより、必要な情報を迅速に取得し、業務の効率化を実現できます(参考:キヤノン)。

これらの要件を満たすことで、電子データの管理を適正化し、法令順守を強化できます。

電子取引の導入と法対応をスムーズに進めるために

電子取引の導入と電子帳簿保存法への対応は、企業の業務効率化やコスト削減を促進し、ペーパーレス化による環境負荷の低減にも貢献します。一方で、適切なデータ管理のためには、法令の要件を満たすシステムの導入や社内ルールの整備が必要不可欠です。

特に、電子データの保存義務化に伴い、取引情報の適正な管理が求められます。データの真実性の確保(タイムスタンプや訂正・削除履歴の管理)や可視性の確保(検索機能やシステムの概要説明書の備え付け)といった要件を満たすことが、コンプライアンス強化と業務のスムーズな運用につながります。

また、法改正により事前承認制度の廃止や優良な電子帳簿に対する税制優遇が導入されるなど、電子帳簿保存法は企業のデジタル化を後押しする方向へと進んでいます。しかし、導入コストや社員教育の負担といった課題もあるため、企業ごとに適切なシステムを選定し、段階的に対応を進めることが重要です。

電子取引と電子帳簿保存法の適用を適切に進めることで、業務効率の向上、セキュリティ強化、法令遵守の強化を実現し、企業の競争力を高めることができます。

弊社 MONO-X では、電子帳簿保存法に対応したデータ管理や業務効率化を支援するソリューションを提供しています。法令対応に不安を感じている企業様や、電子取引の導入を検討している方は、ぜひお気軽にご相談ください。企業のデジタル化をサポートし、スムーズな移行を実現するための最適なソリューションをご提案いたします。

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