2024年7月、IBM i ユーザーと関係者の皆さまへ向けた書籍『IBM i 2030 AI・API・クラウドが創る』を出版いたしました。本書の内容をより多くの方にお伝えするため、当ブログでは各章の要点を連載形式でサマリーとしてご紹介いたします。本記事では全体像を簡単にご理解いただき、さらに詳しく知りたい方はぜひ書籍の詳細をご覧ください。
今回は、【3章 (1/2)】IBM i と新技術は、どう組み合わせていくべきか(本書P.73~)の内容をまとめています。
第3章 IBM i と新技術は、どう組み合わせていくべきか
レガシーシステム=ネガティブなのは日本特有?
国語辞典では「レガシー」は時代遅れを意味する一方、英語では「過去から引き継がれたもの」とポジティブなニュアンスも含みます。しかし、日本ではシステム管理の難航や「システムの分断」「技術者の分断」が原因で、本来悪い意味ではない「レガシーシステム」がネガティブに捉えられる傾向が強まりました。
これらの分断は、システム間の連携不全やエンジニア間のコミュニケーション不足を指します。この問題を解決することで、長年蓄積されたシステム資産を効果的に活用し、企業の競争力を高めることが可能です。日本特有の「レガシー=悪」というイメージを払拭するには、システムや人員体制の整備が鍵となります。
IBM i × 新技術の基本的な考え方
IBM i は、企業が長年蓄積してきたレガシー資産を活かしながら、新しい技術を適材適所で取り入れることで、効果的なDXを推進できるプラットフォームです。その基本的な考え方は、IBM i が得意とするバックエンドの領域を継続的に活用しつつ、フロントエンドなど変化の激しい領域では最新技術を採用することにあります。
具体的には、共通性の高い業務(例:経理システム)には外部パッケージやサービスを活用し、企業ごとに固有性が高い業務(例:販売管理・生産管理)では、自社開発を選択する傾向があります。このような柔軟な使い分けにより、企業の競争力を高める独自サービスの構築が可能になります。
さらに、IBM i の視差継承性の高さや安定性により、長期間にわたるアプリケーションの安定運用が実現し、頻繁なバージョンアップ対応が不要になる点も大きなメリットです。これらの特長を活かし、バックエンドはIBM i を基盤に、フロントエンドは進化する技術を採用するという方針が、新旧技術の融合を可能にします。
進化著しい「フロントエンド」を支える「バックエンド」
基幹システムの進化は、フロントエンドとバックエンドの役割分担により進められてきました。フロントエンドはユーザーインターフェースを指し、PCやモバイルデバイスの普及に伴い、その変化のスピードは加速してきました。一方、バックエンドはデータ処理やロジックを担う部分で、フロントエンドに比べて安定性が求められ、変化は限定的です。
フロントエンドの進化
1990年代まではエミュレーターのシンプルな画面が主流でしたが、2000年代以降、PCの普及とともにフロントエンドのインターフェースが進化しました。
さらに、モバイルデバイスが台頭し、現在ではブラウザを通じた操作が一般的です。
HTMLやJavaScriptなど、オープンソースの便利なモジュールを活用することで効率的な開発が可能です。
バックエンドの役割
バックエンドは在庫管理や発注処理などの基幹ロジックを担い、フロントエンドが変化する中でも、その基本構造は大きく変わらない場合が多いです。ただし、リアルタイム性の向上や顧客サービスの多様化に伴い、バックエンドにも一定の改変が必要になる場合があります。
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