Rewrite the Standard.

PVS One – iDR のご紹介

2024.11.25

今回は、PVS One iDRのご紹介をいたします。

PVS One iDR とは

・PVS One iDRとは
IBM i の災害対策 (Disaster Recovery)として、クラウド上にバックアップデータを保管し、地震や洪水などの自然災害やサイバー攻撃によりシステムが使用できなくなった場合にも重要な企業データが失われないようにするためのソリューションです

IBM i データ災害対策ソリューション

ITシステムの災害対策は、RTO/RPO (RTO : Recovery Time Objective=目標復旧時間、RPO : Recovery Point Objective=目標復旧地点)に合わせてソリューションが組まれます。災害対策には、本番環境の被災時も重要な業務データが失われないよう、業務データの外部保管が必要で、その業務データを使用して業務を継続するための災害対策環境・機器が必要となります。
これまでのIBM i の災害対策は、RTO/RPOに合わせたデータの外部保管の方法と、災害対策環境の準備によって、いくつかの典型的なパターンがありました。

専用に準備した災害対策環境にデータを同期する手法

まず、最もRTO/RPOが短いものは、専用に準備した災害対策環境にデータを同期する手法です。
IBM i では、ソフトウェアでデータを同期するHABPツールやOSの機能によるクロスサイトミラーニングによるディスクの同期が中心で、ネットワーク帯域が十分であればRPOは数分、切り替え手順が整っていればRTOは数時間以内で達成できます。

日次バックアップの電送、物理的な搬送による間欠的なデータ同期

リアルタイムではなく日次バックアップの電送、物理的な搬送による間欠的なデータ同期があります。仮想テープ装置の機能による電送や、セーブファイルのFTP送信などの定期的なネットワーク電送、あるいは物理的なバックアップテープの搬送でテープを外部保管しておき、被災時は準備しておいた災害対策環境にデータを復元して業務を継続させます。

バックアップの頻度にもよりますが、一般的にはRPOは1~2日、RTOはシステムの復元作業が発生するため、数日から一週間ほどとなります。また、災害対策機が準備されておらず、データの外部保管のみを行っている場合は、被災時に機器の調達やネットワークの不接などが発生するため、RTOは数週間から数ヶ月に及ぶことがあります。

機能調達に関して、この領域でかつてIBMがiDR Expressという被災時に代替機を貸出するサービスを提供していましたが現在はサービス終了しています。

MONO-Xでは、クラウド技術を活用してIBM i の災害対策ソリューションを提供していますが、今回は、データを外部保管し、災害対策環境を被災時に調達する領域のソリューションを紹介いたします。

安価なDRソリューション

このソリューションは、
1.バックアップを安価にクラウド上に保管できること
2.バックアップデータをクラウド上の仮想サーバーであるPower Virtual Serverに復元できること
3.できるだけPower SystemとIBM i の機能を使用し、製品依存を避けること
をポイントとして構成しています。

先程説明した災害対策ソリューションを、これまでの中心であったオンプレミス構成でRPO/RTOを図示するとこのようになります。
災害対策機を持つことのコストと、災害対策機を持たない場合は調達と平常時の訓練が課題となっていました。

こちらがクラウド技術を利用した場合のソリューションを図示したものです。

IBM Cloud Power Virtual Serverはハードウェアの調達が不要で、契約すれば最短で数時間以内にサーバーを稼働させることができます。災害対策用の業務データをPower Virtual Serverに復元できる場所に保管できていれば、これまで数週間から数ヶ月かかっていた被災時に災害対策機を調達するパターンでも、RTOを大幅に短縮することが可能です。また、クラウド上のPower Virtual Serverは動的に資源を増減させることができるため、平常時は最低限の資源でIBM i を稼働させておき、日次で電送されるバックアップを都度復元しておく、被災時には資源を追加して業務を再開する等といったバリエーションも考えられます。

これはHABPツールによる同期のパターンでも同様で、平常時と被災時で資源を動的に変更し、コストを抑えることができるというのがクラウドの大きなメリットとなります。

データの外部保管はクラウドベンダーが提供するクラウドストレージにデータを電送し、被災時はそこからPower Virtual Serverにデータを復元することができます。転送容量を削減するためにはデータの圧縮が必要ですが、IBM i には複数の圧縮手段が用意されています。その中でもVersion7.4以降でOS標準で提供されるようになったZLIBを使用することで、効率的に圧縮することができます。

IBM i でのZLIB圧縮活用術:バックアップ効率化とクラウド連携

ZLIB圧縮はOSの標準機能であり、IBM i Version7.4 TR7以降で使用することができます。ZLIBは効率の良い圧縮アルゴリズムで、SAVLIBコマンドのオプションで選ぶことができるため、毎日のバックアップに組み込みやすい圧縮方法です。また、Power10のハードウェアにはメインプロセッサー以外に圧縮アルゴリズムを専用に扱うプロセッサーが搭載されているため、メインプロセッサーに影響を及ばさず圧縮ができます。弊社環境での検証では、圧縮なしとPower10でZLIB圧縮した場合のSAVLIBコマンドでは、ほぼ取得時間は変わらず、CPU使用率も同等という結果になりました。圧縮率はデータにもよりますが、90%の圧縮ができる場合もありました。ZLIBが使用できない場合は、SAVLIBで取得した後に7ZIPなどで圧縮することとなります。こちらは一度バックアップデータを作成してから圧縮する形になるため、ディスクの空き容量に注意が必要です。作成されたバックアップデータは、MONO-X製品のAPI-Bridgeによってクラウド・ストレージに転送されます。クラウド・ストレージは、いわゆるS3準拠のクラウド・ストレージであればベンダーは問いません。

MONO-Xから提供するデータ保管ソリューション

MONO-Xでは、PVS One iDRとしてご説明したデータ保管ソリューションを提供いたします。

まず、クラウド・バックアップ・スターター・パックとして、お客様環境の調査とバックアップの設計支援、実際に転送保管がされるまでの技術支援を行います。この時点でリストアのテストをご希望の場合は、Power Virtual Server環境へのリストアも別途ご支援可能です。
月々の運用はクラウド・バックアップ・マネージド・サービスとしてご提供いたします。既にクラウドストレージをお使いで、そこへの保管をご希望される場合は、API-Bridgeのライセンスと技術Q&Aを提供します。保管先をMONO-Xで管理しているIBM Cloud Object Storage(ICOS)を選択することもできます。こちらは標準1TBをお客様に割り当て、ご希望に応じて容量追加も可能です。また、いずれの場合もPower Virtual Serverへの復元起動オプションが提供可能です。バックアップデータの保管場所、復元の方法や平常時の災害対策機の持ち方など、ご希望に応じた構成が可能なため、別途お見積もりいたします。

前提条件

サービス利用の前提条件として、以下のご確認をお願いします。

・バックアップデータの一時取得領域(IFS領域)に十分な空きをご準備ください。
・IBM i からクラウド・ストレージまでのネットワークはお客様にてご準備ください。
・ZLIB圧縮を使用する場合は、PTFの適用が必要な場合があります。
・お客様でクラウド・ストレージを準備される場合は接続情報及び認証情報をご提供ください。
・MONO-X作業時にIBM i ユーザーを貸与いただきます。

MONO-Xではお客様の要件に合わせて、費用対効果を踏まえた様々なDR手法をご提案可能です。導入や活用方法について詳しく知りたい方は、ぜひ当社までご相談ください。

PVS One iDRに関するお問い合わせ・ご相談はこちらのフォームよりお問合せください
=================
PVS One 公式サイト
PVS One に関するお問合せ