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【第2章 1/2】AI・API・クラウド時代の基幹システム|『IBM i 2030 AI・API・クラウドが創る』

2024.11.26

2024年7月、IBM i ユーザーと関係者の皆さまへ向けた書籍『IBM i 2030 AI・API・クラウドが創る』を出版いたしました。本書の内容をより多くの方にお伝えするため、当ブログでは各章の要点を連載形式でサマリーとしてご紹介いたします。本記事では全体像を簡単にご理解いただき、さらに詳しく知りたい方はぜひ書籍の詳細をご覧ください。
今回は、【2章 (1/2)】AI・API・クラウド時代の基幹システム(本書P.54~)の内容をまとめています。

第2章 IBM i とは何か? AS/400から受け継ぐ唯一無二のビジネス専用のアーキテクチャー

基幹システムの進化と変遷

基幹システムは10~20年単位で大きく4つの時代に分けられ、時代とともに遂げてきた進化を通じて業務の効率化やデジタル技術の活用が進んできました。

1. 基幹システム1.0(オフコン時代)
インターネットやブラウザの登場以前、基幹システムは社内で完結する業務データの入力機器として活用されていました。この時代のシステムは主にオフコンが担い、ブラウザやグラフィカルなインターフェースは存在しませんでした。

2. 基幹システム2.0(Web時代)
1990年代後半、インターネットの普及とともにWebアプリケーションが基幹システムにも導入されました。グラフィカルなインターフェースが普及し、企業間のシステム連携が可能になる一方、旧来のシステムを活用する企業の中には「IBM i (AS/400)=古いコンピューター」という誤解が広がることもありました。

3. 基幹システム3.0(API・クラウド時代)
2023年頃から、基幹システムとクラウドサービスやAPIによる連携が浸透してきました。SaaSやIaaSを活用し、業務改善やDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する動きが活発化しました。IBM i も2019年からIBM Cloudの利用が可能になり、2023年以降はクラウド利用が一気に加速し、広がっています。

4. 基幹システム4.0(AI時代)
AIが基幹システムに本格的に関与する時代が到来しつつあります。
AIは開発者のアシスタント領域にとどまらず、基幹システムのデータを学習して直接業務改善を行う役割も担うなど、多くの社員がAIを活用してシステムのアップデートに参加しやすくなっていくでしょう。

これらの進化は、インターネット、クラウド、AIといった技術革新が相互に作用し、基幹システムの利用方法を大きく変化させてきました。

近い将来、必ず訪れる基幹システム4.0「AI時代」

現在の「API・クラウド時代(基幹システム3.0)」の次に訪れる「AI時代」は、基幹システムに新たな可能性をもたらします。特に注目されるのは以下の2つの領域です。

1. 基幹データとAIの連携
特に基幹システムのデータを需要予測はAI活用例として一般的です。例えば、ある食品製造業の企業では、在庫引き当て業務の効率化を目的にAIを導入しました。これにより、熟練者に頼っていた属人的な作業を削減し、導入してから1年後には全国規模で展開されるようになっています。

2. 基幹システムのプログラム開発支援
生成AIの導入により、プログラムの自動生成やレガシー言語の学習支援が可能となり、生産性が向上しています。特にCOBOLやRPGといった歴史ある言語に対応する技術者不足の課題を補い、効率的な開発環境を構築しています。また、既存プログラムの新しい言語への変換も容易になりつつあります。

AIが業務改善やシステム開発を支援することで、DX推進や長年の課題解決が期待され、IBM i の分野にも少しずつその波が広がっています。AI時代の本格到来はこれからですが、基幹システムへのAIの影響は確実に拡大しています。

基幹システム3.0「API・クラウド時代」の幕開け

現在、基幹システムは「API・クラウド時代(基幹システム3.0)」に突入しています。この時代は、2020年頃から「必要なときに必要なものを利用する」という考え方が浸透し、所有から利用へのパラダイムシフトが進みました。その中心にあるのが「クラウド」と「API」です。

クラウドの進展

クラウドは、サーバーを自社で所有せず、インターネットを通じて必要なときに好きなだけ利用できるサービスを指します。2019年にはIBM CloudがIBM i の本格的なクラウドとして利用が可能となり、2020年以降、大きく広がっていきました。

APIの普及

APIはアプリケーション同士をつなぐもので、システム間の連携を可能にするプロトコルです。この仕組みを活用することで、クラウド上のシステムやSaaS間の連携が効率化され、API連携がシステム間の標準(デファクト)となりつつあります。

クラウドが「必要なときに必要な環境を提供する」であるのに対し、APIは「必要なときに必要な機能を呼び出す」手段として機能し、両者は密接に関係しています。これにより、基幹システムを含む多様なシステムが柔軟に統合されるようになり、次の「AI時代」に向けた重要な土台が構築されています。

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