2024年7月、IBM i ユーザーと関係者の皆さまへ向けた書籍『IBM i 2030 AI・API・クラウドが創る』を出版いたしました。本書の内容をより多くの方にお伝えするため、当ブログでは各章の要点を連載形式でサマリーとしてご紹介いたします。本記事では全体像を簡単にご理解いただき、さらに詳しく知りたい方はぜひ書籍の詳細をご覧ください。
今回は、【1章 (2/3)】IBM i とは何か? AS/400から受け継ぐ唯一無二のビジネス専用のアーキテクチャー(本書P.33~)の内容をまとめています。
1988年に完成し、今も色あせないAS/400の独創性
1988年に完成したAS/400は、ビジネスに特化したITシステムとして設計され、その先進的なアーキテクチャーは、現在のIBM i にも受け継がれています。この独創的なプラットフォームには、次の3つの重要な特徴があります。
①ビジネスに必要なIT機能のオールインワン思想
②ダウンしない圧倒的な安定性とハイパフォーマンス
③IT資産保護
これら3つのポイントを認識することは、IBM i を正しく理解し、その価値を最大限に活用するために重要です。それぞれのポイントについて、詳しく解説していきます。
IBM i の特徴①ービジネスに必要なIT機能のオールインワン思想
IBM i の「オールインワン」思想は、ビジネスに必要なIT機能を1つのパッケージとして提供する考え方で、AS/400から受け継がれています。IBM i の「i」は「統合(Integration)」を意味し、OS、データベース、Webサーバー、運用監視、バックアップ機能などが一体化されており、複数のベンダー製品を選ぶ手間が省け、コスト削減に繋がります。
ビジネスに特化したこのOSは、特に基幹システムに不可欠なデータベース機能を内包し、SQLアクセスもOSインストールと同時に可能です。IBM i の特徴的な「OS=データベース」の構造は、サーバー環境をすぐに整える利点があり、ビジネス効率化に貢献しています。
IBM i の特徴②ーダウンしない圧倒的な安定性とハイパフォーマンス
IBM i の「圧倒的な安定性」とは、システムがダウンせずに稼働し続けることを指し、IBMがハードウェアからアプリケーションまで一貫して設計・開発していることがその理由です。この安定性は、ビジネスにおいて障害による業務停止を防ぎ、以下の4つの大きな効果をもたらします。
⑴相性問題の軽減
IBM i は、IBMがハードウェアからOS、ミドルウェアまで一貫して設計・開発しているため、システム内での「相性問題」がほとんど発生しません。一般的なシステムでは、複数のベンダー製品を組み合わせる際に、バージョンやパッチの相性が問題となりがちですが、IBM i ではその心配が少ないです。万一問題が発生しても、IBMが一元的に対応し、原因を特定してパッチを提供するため、ユーザーが複数のベンダー間を調整する必要がなく、問い合わせも1箇所で済む安心感があります。
⑵シンプルなシステム構成
IBM i はその高い安定性から、多くの企業がHA機(障害対策機)を持たず、本番機のみでの運用を採用しています。一部の企業では、HA機やDR機(災害対策機)を保有していても、切り替えが一度も不要なほど安定しているため、本番機のみでの運用に切り替えを検討するケースもあります。このシンプルなシステム構成により、運用の手間とコストが削減され、効率的な運用が実現します。
⑶運用人員の最小化
IBM i では、データベースの設定がOSインストールと同時に完了し、パフォーマンスチューニングも自動で行われるため、専門的なデータベースエンジニアが不要です。操作に関しても、IBM i 専用のプログラミング言語RPGやSQLに対応しており、学習コストを抑えながら業務データを簡単に管理できます。そのため、IBM i を使用する企業では、情報システム担当者や業務担当者がシステムの運用を担うケースが多く、安定性により専任の運用担当者を必要としません。
⑷パフォーマンスチューニングの自動化
IBM i では、パフォーマンスチューニングが自動化されており、特にSLS(Single Level Storage)機能が大きく貢献しています。SLSは物理ストレージの数に関係なく、全てのストレージを単一の仮想プールとして扱い、OSがデータ配置を最適化して均等にストレージを活用する仕組みです。よく使われるデータやアプリケーションはメインメモリーに保持され、データアクセスの速度が向上します。
これにより、ユーザーはストレージ全体の使用率管理や追加のみを行うだけで、パフォーマンス問題を気にせず、安定したシステム運用が可能です。この仕組みはAS/400から引き継がれており、他のOSでは見られないIBM i ならではの特徴です。
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