2024年7月、IBM i ユーザーと関係者の皆さまへ向けた書籍『IBM i 2030 AI・API・クラウドが創る』を出版いたしました。本書の内容をより多くの方にお伝えするため、当ブログでは各章の要点を連載形式でサマリーとしてご紹介いたします。本記事では全体像を簡単にご理解いただき、さらに詳しく知りたい方はぜひ書籍の詳細をご覧ください。
今回は、【序章 (3/3)】IBM i のユーザー企業の現状と未来(本書P.25~)の内容をまとめています。
新たにIBM i を採用する企業
近年では新たにIBM i を導入する企業も増えています。主な理由は次の3つです。
1つ目は、日本の汎用機ベンダーの撤退に伴う移行です。特にCOBOL で作られたアプリケーションが稼働する企業では、そのアプリケーションをそのまま稼働できるOSとして、IBM i を採用するケースも増えています。
2つ目は、業界特化型のパッケージを採用する企業の増加です。証券や保険、小売業向けなどの業界特化型アプリケーションがIBM i で提供されており、その結果としてIBM i が選ばれています。
3つ目は、カスタムメイドの自社アプリケーションのデータベース部分などでIBM i を採用するケースです。優れたパフォーマンスと信頼性が評価され、導入されています。
IBM i の新規採用は1990年代ほど多くはありませんが、現在も続いています。特に立命館大学の採用事例は注目され、今後も競争優位を築くためにカスタムアプリケーションを導入する企業がIBM i を選ぶと考えます
コラム:ChatGPT×IBM i
本書では、IBM i の利用法をアップデートしていく上で、AI を重要なキーワードとして位置づけています。そこで、生成 AI の ChatGPT とIBM i を組み合わせた活用例をご紹介します。
ChatGPTのMyGPT機能を活用し、IBM i のデータを参照して回答を得ることが可能です。データへのアクセスはAPI経由で行われます。
ここでは、生成AIのChatGPTとIBM i を組み合わせた活用例を2つご紹介します。
1.「国別にいくつずつ事業所があるか教えてください」
基幹システムの中に以下のような事業所マスターがあるとします。
事業所ID | 事業所名 |
---|---|
1 | 東京オフィス |
2 | 京都オフィス |
3 | シンガポールオフィス |
4 | ニューヨークオフィス |
5 | ロンドンオフィス |
現実の事業所マスターには、どこの国かという情報も入っていると思いますが、今回はシンプルな例として説明します。
では、「国別に事業所を整理し、いくつずつ事業所があるか教えてください」とChatGPTに聞いてみましょう。
すると、以下のような回答を返してくれました。
このように、データベースにない情報も補完して回答してくれますので、データベースの構造に詳しくない人でも簡単に使用することができます。
2.「売れ筋製品の広告用バナーを生成してください」
次の例です。ChatGPTは、業務で必要な広告用バナーなどの画像生成にも利用でき、簡単な指示で売れ筋商品のバナーを作成することが可能です。「最も売れ筋商品のバナーを作成してください。300×250のサイズで作成してください。画像の中に文字を含める必要はありません」と指示を出すと、わずか数秒でバナーが作成されました。
製品マスターや売上マスターのデータベース内に詳細な情報が含まれていない場合でも、ChatGPTは予測に基づいて画像を生成します。もし、データベースに製品の詳細情報や画像があれば、より正確で実際の製品に近いバナーの作成が可能です。
ChatGPTは、IBM i のデータをAPI経由で取得することが得意で、この仕組みを利用すれば、業務の幅広い場面で効率的なサポートが可能です。例えば、IBM i の学習支援において教師としての役割を果たすことや、プログラムの改修を支援することが期待されます。また、自社向けのカリキュラムの生成も高精度で行えるようになります。
しかし、生成AIにはまだ課題もあり、正確性が保証されているかどうかが不透明であることもその 1 つです。そのため特に基幹業務のような正確さが求められる場面では、出力結果の整合性を確認するなどの工夫が必要です。
本章のさらに詳しい解説は、本書の序章(p.12~)をご覧ください。
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