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DRソリューションをよりシンプルに:FSR(Full System Replication)の特徴とメリット

2024.10.30

企業の重要なデータやシステムの保護に欠かせないDR(Disaster Recovery)ソリューション。しかし、従来のソリューションは複雑な構成や運用負担がかかり、導入に高いハードルを感じる企業も多いのが実情です。そんな中、IBMが提供するFSR(Full System Replication)は、簡便かつ高効率なレプリケーション機能を提供し、IBM i 環境でのDRにおける課題を大幅に改善します。本記事では、FSRの特徴とメリットについて簡単に解説します。

FSRとは

FSR(Full System Replication)は、 IBM Expert Labsが提供するIBM純正のIBM i のストレージ複製ソリューションです。通常のレプリケーションとは異なり、特別な設定やアプリケーション環境の変更を行うことなく、システム全体を簡単に複製できる点が特徴です。

IBM Expert Labs テキスト

IBM Expert Labsとは

IBM Expert Labsは、ITの専門家たちがシステム導入、セキュリティ強化、データ活用などの幅広い技術サポートを、企業に直接デリバリーするプロフェッショナルチームです。IBM i のExpert Labsは『STG Lab Services』として始まり、長い歴史を持っています。現在もIBMロチェスター研究所の開発部門出身のメンバーが中心となり、脈々とその技術力とサービス精神が受け継がれています。当時から、IBM Expert Labsのメンバーは直接お客様先に赴き、パフォーマンスのアセスメントや要望に応じたソリューション実装を行ってきました。たとえば、IBM i のオプション機能にさらなる拡張機能を加え、ソリューションとして提供するなど、価値あるアセットを開発・展開しています。この伝統を活かしながら、IBM Expert Labsは現在も企業のデジタルトランスフォーメーションと競争力強化に貢献しています。

DRソリューションの課題とFSR利用のメリット

IBM i におけるストレージ領域のレプリケーションによるDRソリューションとしては、IBM PowerHA SystemMirror for i ( PowerHA for i ) を利用した方法と外部ストレージのレプリケーション機能を利用してお客様自身で実装する方法がありますが、それぞれに異なる課題があります。

1. PowerHA for i を利用した方法
PowerHA for i によるレプリケーションは『IASP (独立補助記憶域プール)』とよばれるOS領域とは分離させたユーザーデータを配置するストレージ領域のみが対象となります。この構成は、既存のアプリケーション環境に手間をかけ、ユーザーデータをOS領域とは別のストレージ領域であるIASPに配置する必要があるため、導入の敷居が高くなりがちです。また、PowerHAの運用には追加コストも必要で、管理に手間がかかることが課題となっています。

2. 外部ストレージのレプリケーション機能を利用した方法
PowerHA for i を利用するソリューションはIASP構成が必須となりますが、IASP構成への変更対応が難しい場合があります。その場合、ユーザー自身でIBM i システム全体を外部ストレージのGlobal MirrorやMetro Mirrorと呼ばれるレプリケーション機能を用いて複製し、DRとするケースがあります。その際は災害発生時の切替対応など全てユーザー自身で実装する必要がある点が課題と言え、通常の運用時は問題なくとも緊急時のインパクトが大きくなる点が課題です。

こうした課題に対して、FSRは外部ストレージを利用し、システム全体を無理なく複製するレプリケーション機能を提供します。IASPのような複雑な分割構成が不要なため、既存の環境をそのまま使え、構成変更にかかる負担が大幅に軽減されるのがFSRのメリットです。また、FSRには切り替え機能も備わっており、管理画面から簡単に操作できます。

Power Virtual ServerとFSR

さらに、FSRはPower Virtual Serverで提供されているGRS (Global Replication Service) をサポートしており、クラウド環境でのIBM i システム全体のストレージ・レプリケーションを実現できます。FSRはIASP対応が難しいシステムや大規模システム、オンプレ環境からクラウド環境に至るまで、容易かつ信頼性の高いDRシステムを構築できる一貫したソリューションと言えます。

このように、FSRを利用することで、システム全体のレプリケーションがシンプルに実現でき、DRソリューションの導入がより身近なものになります。

MONO-Xではお客様の要件に合わせて、費用対効果を踏まえた様々なDR手法をご提案可能です。導入や活用方法について詳しく知りたい方は、ぜひ当社までご相談ください。

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この記事の監修者
クラウド事業部マネージャー 中村 陽一

2003年に日本アイ・ビー・エム システムズ エンジニアリング入社。2004年よりIBMグループ内の各部門にて、IBM i を主たる技術エリアとして提案段階からプロジェクト実施に至る各局面における技術支援を担当。その後、2024年4月当社に入社。