今回は、PVSに興味を持った方が必ず気になる、PVSのコストについてご紹介します。「PVSって高いんじゃないの?」という疑問にお答えしたいと思います。PVSとはIBMが所有するPowerサーバーとIBM iのライセンスを借りて使うクラウドサービスです。PVSを使う上で避けて通れない費用感について、3つのトピックで解説します。
1つ目は、PVSは完全に重量課金のクラウドサービスなので、所有するオンプレミス環境とサービスとして利用するクラウドのIBM i環境ではコストのかかり方が実際に異なる点です。2つ目は、IBM iを使い続ける際のコストは、IBM iそのものだけでなく、長期的な視点や周辺環境を含めた判断が実は重要であるという点です。トータルコストで考えると、PVSは最適なプラットフォームとなり得ます。3つ目は、クラウドならではの使い方やPVSのサイジングの最適化、サブスクリプションの活用で少しでもコストを最適化しましょうという点です。
1. 柔軟にコスト管理がしやすいPVS
では、1つ目から説明します。車で例えると、オンプレミスは自分で買って所有する自家用車、PVSはレンタカーを借り続けるのに似ています。短期的にはレンタカーの方がコストメリットがありますが、長期的には割高になることがあります。PVSも同様に、IBM iの環境だけで考えると最初はコストがかからないかもしれませんが、使い続けるとオンプレミスのコストを超えるタイミングが出てきます。これはある意味当然のことです。でも単純にIBM iOSの環境コストだけで判断するのは実にもったいないです。
例えば、所有するオンプレミス環境は資産管理も必要なのでメンテナンスの手間がかかりますが、PVSならその手間から解放されます。また、オンプレミス環境の場合は、ほとんどのケースで将来的にもリソースが不足しないように負荷の最大値に合わせた余裕を持ったスペックで構成することがほとんどでコスト削減することもなかなか難しいのですが、PVSは、スペックを必要最小限に絞ることができるのでコスト最適化が図れます。CPUライセンス数が1コア単位のオンプレミスと比較するとCPUを0.25コア単位で細かく設定できるのはPVSの大きなメリットです。さらにCPUだけではなく、メモリーやディスクなど将来必要なリソースが増えた場合でも、今、必要なリソースを必要なときに必要な分だけ構成して簡単に増強することができます。今のワークロードに合わせて最適なリソースで運用することができるという点でPVSは優位性を発揮します。
2. 長期的なトータルコストで比較
さて、PVSのIBM i単体のコストで考えていくと、先ほどお話した通り、PVSならではの柔軟性、拡張性を活用したサイジングの最適化によってオンプレミスよりも安くなる可能性というのがもちろんありますが、基幹システムとして稼働させることを考えたときにサーバー単体のコストだけではなく、運用費用や環境を構築する費用なども含めた長期的なトータルコストで考えると、さらにPVSの優位性が出てきます。PVSの費用というのはIBMデータセンターを利用する場合の場所代や電気代も含まれています。IBMが所有するライセンスを借りる分とライセンスに紐付くOSサポートを使う権利も含まれています。PVSを見積もるコストにはこういったIBM iを使うための費用が全て可視化されています。
一方で、オンプレミスの場合も、場所代やラック代、電気代やサポートの費用など、必ず発生していると思いますが、意外と見えていないケースも多いのではないでしょうか。見えにくいコストといっても、実際にIBM iを使う上ではかかる費用なので、PVSと比較をするのであれば、オンプレミスのトータルコストも洗い出して比較することをお勧めします。特にオンプレミスの場合は、5・6年に一度くらいの周期でハードウェアを入れ替えるというリプレース作業のプロジェクトが定期的に発生して、そのたびに結構な金額を移行費用として支払われていると思います。PVSに一度移行していただくと、PVSはハイレベルで仮想化された環境なので、PVSからPVSへの移行作業はオンプレミスの移行に比較にならないぐらいリーズナブルに実現できます。ぜひ、次の移行サイクルまで含めたトータル費用でPVSのコストを比較してみてください。長く使うIBM iなので、5年と言わず10年というスパンでコストを考えると、PVSはより魅力的に感じると思います。MONO-Xにご依頼いただければ、長期的な費用比較をした上でのご提案をさせていただきます。
3. IBM Cloudの有効活用で、ITコスト全体を最適化
PVSはIBM Cloudのサービスの一つとして提供されています。IBM CloudにはIBM Powerだけではなく、x86系の環境やPaaS、SaaSなど多様なサービスが揃っています。IBM iを基幹システムとして使いながら、WindowsサーバーやLinuxサーバーといった周辺系のサーバーも使っているケースが非常に多いのではないでしょうか。PVSで基幹システムをクラウドにリフトするのであれば、そういった周辺のサーバーも一緒にクラウドにリフトすることで、より柔軟なインフラ環境を手にすることができます。PVSと同様に、x86系のサーバーもIBM Cloudですぐに調達できますし、多くの場合、IBM iと周辺系のx86サーバーは連携していることが多いので、一緒にクラウドに持って行った方がパフォーマンスの面でも有利になります。
さらに、IBM Cloudでは、個別のリソースごとの契約は不要です。IBM Cloud内で利用したサービスのトータル費用をIBM Cloud利用料として払っていただく仕組みになっています。そして、この払う仕組みとして、サブスクリプションというのがよく使われています。オンプレミスの場合は、IBM iだけでも「ハードウェア」と「ソフトウェア」と「保守」といった明細に分かれていたり、x86サーバーも同じようにそれぞれ請求が分かれてくると思いますが、IBM Cloudは、それぞれが発生した費用をまとめてIBM Cloudの利用料として一本化されて請求されますので、コスト管理の面でもかなりシンプルになります。IBM Cloudにインフラ環境全体をリフトすることで、事務的な作業も含めてシンプルに最適化することができる。これもPVSを使うメリットになります。
いかがでしたでしょうか。実際のPVS利用の費用については、ご相談いただければ数字を載せた見積もりをご提示できますので、IBM i をもっと上手に活用していきたいお客様も、IBM i で最新技術にチャレンジしてもっといい仕事がしたいという方も、ぜひMONO-Xにご連絡ください。公式サイトより、オンライン相談も受け付けております。
次回はPVSのサイジングについてご紹介します。
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