PVSの登場で、IBM i がクラウドで気軽に利用可能になりました。MONO-Xには、IBM i をクラウドで利用したいというお客様のご相談を非常に多くいただいています。PVSはIBM i と言っても、現在使用しているオンプレミスのIBM i とは異なるのでは?と言われることが多いですが、実際はほとんど同じです。
今回はPVSのIBM i って、オンプレミスのIBMiと同じなの?どこが違うの?というテーマでお話をします。PVSはIBMがIBM Cloudで提供するIBM純正のクラウドサービスで、OSから上はオンプレミスと全く同じです。しかし、クラウドサービスで動いているので、インフラ視点では違うところが少しだけあります。
インフラ的な違いは、大きく分けて3つあり、PVSはパブリッククラウドサービスであるということが影響しています。一つは通信環境、そして二つ目はバックアップ環境、そして最後三つ目は日本語環境です。細かく説明していきます。
1. 通信環境の違い
冒頭紹介しているYoutubeは2023年に撮影しています。動画中で述べている通り2024年のINS回線のサービス終了に伴い、INS回線で全銀手順通信を使用していたお客様も後継のサービスやソリューションへの移行は完了していると思います。より一層PVSへの移行へのハードルが下がったと言えます。
(動画内での説明)
PVSはクラウドサービスなので、EthernetによるTCP/IP通信しか使えません。AS/400から使われてきている環境では今も公衆回線経路の通信、特に全銀手順(Zengin Protocol)などで使われるINS回線を使ったお客様って非常にまだ多いですよね。しかし、PVSで使えるEthernetポートだけで、公衆回線通信用のアダプターは一切使えません。日本のデータセンターでPVSが使えるようになった2020年時点ではv.24アダプターのサポートがないということが日本のお客様から結構ネガティブな反応をいただきました。
そもそも、INS回線は2024年1月にサービスが終了したため、PVSを利用していないオンプレミスのIBMiユーザーも、INS回線からTCP/IPへの移行を進めています。これにより、PVSがEthernetしか使えないという理由で選択肢から外れていた環境でも、INS回線のサービス終了に伴い通信環境がEthernet化され、むしろPVSに適した環境となっています。したがって、2023年時点での通信環境の制約は、2024年以降は制約ではなくなると言えます。
2. バックアップ環境
PVSご検討のお客様からは、「物理テープ使えないの?」とよく質問いただきます。結論から言うと、物理テープは一切使えません。
物理テープってアナログな仕組みですけど、信頼性は高いし、容量単価は安いし、オフラインだったらランサムウェアの攻撃も受けないし、IBM i 以外のプラットフォームでも今見直されている、実はホットなテクノロジーです。バックアップの最強デバイスは物理テープだと思います。基幹システムとして企業の宝とも言える大事なデータがたくさん蓄積されているIBM i には、ほとんどのお客様の環境で毎日物理テープに業務データをバックアップしていると思います。安全で確実にデータ資産を保護できる物理テープが使いたいというお気持ちは分かりますが、残念ながらパブリッククラウドのPVSでは物理テープ装置の提供はありません。
じゃあやっぱり使えないや。と思った方、もう少し辛抱ください。少し違いはありますが、大事なデータを保管する方法はPVSでももちろん用意できます。バックアップ方法の一つ目は、IBM i のOS標準の仮想テープ装置機能を使うことです。IBM i には物理テープ装置をエミュレートする仮想テープ装置という仕組みがOSのバージョン5の世代で実装されています。その仮想テープ装置に一回データを保管した後、IBM Cloud内のオブジェクトストレージであるICOSにCPYTOCLDというコマンド一発で仮想テープイメージを転送することができます。
ここで出てきたICOSというのは、AWSのS3と同じオブジェクトストレージという種類のファイル置き場なんですけども、なんと99.999999999999%という15nineの耐久性を持つストレージなんです。しかも容量単価もめちゃくちゃ安くて、1GBあたり1円から2円くらいで使えます。ですので、高く見積もっても1TBで2000円以下です。
二つ目のバックアップ方法は、2022年の後半から利用できるようになったFalconstor社のVTL(Virtual Tape Library(バーチャルテープライブラリー))というものをPVSのIBM i の横に立てて使うということができるようになっています。実はこの方法、すごくおすすめです。TS4300とかTS3200とかTS3100とか、オンプレミスのIBM i とセットで使う物理テープライブラリー装置と同じような使用感をクラウド環境で実現することができます。
具体的に言うと、TAPMLB01といったようなテープライブラリとして認識されますので、使い勝手変わらず今使っているバックアップ用のCLがそのまま使えます。データの実態は、先ほどご紹介したOSの仮想テープ装置を使った場合と同じ、めちゃくちゃ耐久性が高くて安いICOSに保存します。
なので物理テープ装置が使えないからPVSをやめようというのはやめましょう。
MONO-Xでは、VTLの経験値も豊富ですので、オンプレと同じバックアップ運用の仕組みもぜひ構築をお任せください。
3. 日本語のIBM i 環境がPVSで使える
PVSは東京と大阪のデータセンターで提供されていますが、サービスの仕様はIBM Cloud全体で標準化されています。PVSで用意されているIBM i の初期イメージは、今も英語版だけです。IBM i 自体は多言語機対応のOSなので、英語環境の2次言語として日本語を入れて使うこともできます。しかし、IBM i を長年使ってきていただいた日本人のお客様、2次言語でIBM i を使うというのは許せないと思います。PVSを早いタイミングで検討されたユーザーさんほど、日本語が使えないからダメだという印象をお持ちだと思いますが、今は違います。MONO-XではPVSのIBM i 環境の1次言語を日本語にする仕組みを持っています。オンプレミスと変わらない日本語環境でPVSをご利用いただけます。
もちろん日本語にしても、IBM Cloudで提供されるサポートも受けられますので安心してください。ぜひ日本語で伝えるPVSのIBM i を知ってもらいたいので、興味のある方はぜひ弊社のデモ環境で日本語のPVSを触っていただく体験をぜひしてください。
IBM i をもっと上手に活用していきたいお客様も、IBM i で最新技術にチャレンジしてもっといい仕事がしたいという方も、ぜひMONO-Xにご連絡ください。公式サイトより、オンライン相談も受け付けております。
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