本日は、MONO-Xがご提供するIBM Power Virtual Server 活用支援サービスであるPVS Oneをご利用いただく際に活用可能なHA&DRソリューションのご紹介をいたします。
IBM Power Virtual Server であるPVSは、IBMがオフィシャルに提供するIBM Powerのクラウド環境です。PVSはオンプレ環境と同一のIBM Powerハードウェアで構成されたIaaS(Infrastructure as a Service)となっておりますので、単体でも高い信頼性が見込まれます。一方で、IBM i では利用が一般的である物理テープドライブや物理テープライブラリが用意されていないなど、クラウド特有の留意点もあります。 Power Virtual ServerにリフトしたIBM i 環境の災害対策を検討する際、クラウドならではの特徴や留意点を生かした様々な選択肢が考えられます。
このチャートは、システムに求められる目標復旧時点 (RPO) ならびに目標復旧時間 (RTO) 別に考えられる災害対策ソリューションとして、PVS Oneで適用できるものを図示したものとなっております。

スタンバイ環境として、災害対策用のIBM i インスタンスを本番環境とは別のサイト上に構成するソリューション群が右上にプロットされており、その左下はそのようなスタンバイのIBM i インスタンスの常設が必須ではないソリューションを示しています。
それでは、これらの各ソリューションの特徴について、順にご紹介させていただきたいと思います。
1. PVS One R2 (Remote Replication)
一つ目は、PVS Oneリモートレプリケーションソリューションです。
こちらはIBM i OS標準機能を駆使した仮想テープイメージへのバックアップと遠隔保管を実現するソリューションとなっております。特にIBM i 7.4 TR7(テクノロジーリフレッシュ7)以降のZLIB圧縮機能を用いることで、テープイメージサイズを圧縮し、小さくすることができます。さらに、Power10プロセッサーにはZLIB専用HWアクセラレーターが搭載されています。
Power10マシン上のIBM i インスタンスであれば、このアクセラレータを活用できますので、より効率的な処理が実現できます。バックアップを取得した仮想テープイメージは、データストア用インスタンスやICOSに配置し、さらに他のリージョンへの複製を行うことでデータ保全を実現する形です。なお、災害対策用のIBM i インスタンスの常設は必須ではありませんので、RTOに応じた柔軟な構成が可能となっています。

2.Falconstor VTLレプリケーション
2つ目は、FalconStor VTLレプリケーション(ファルコンストアVTLレプリケーション)です。
Power Virtual Server では物理テープ装置が用意されていませんが、その代わりにFalconStor VTL仮想テープライブラリをオーダー・構成することができるようになっています。FalconStor VTLはVTL間のテープイメージレプリケーション機能を持っています。このVTLのレプリケーション機能を用いて、別リージョンのPowerVSワークスペースに仮想テープイメージを複製しておくことでデータ保全を実現するのがこのソリューションです。
さらに、FalconStor VTLでは、重複排除機能が用意されており、重複排除後のデータを転送することで、より効率的なサイト間のデータ転送が可能となっています。災害対策用PowerVSワークスペースには、FalconStor VTLを構成することで、複製したテープイメージの保全ができます。そのため、一つ目のソリューションと同じように、このソリューションも災害対策用IBM i インスタンスの常設は必須ではなく、RTOに応じた柔軟な構成が可能となっています。

3.IBM PowerHA SystemMirror for i 地理的ミラー
3つ目はIBM PowerHA SystemMirror for i 地理的ミラーを活用したソリューションです。
これはIBM i のストレージ構成としてIASPと呼ばれるデータ領域をシステム領域(*SYSBAS)とは別に構成した上で、IASPのデータをTCP/IPネットワークを通じて別のIBM i インスタンス上のIASPにミラーリングするものになります。このミラーリングはストレージのページ単位のミラーリングとなっており、ライブラリ、オブジェクト単位でのミラー設定は不要です。なお、本番および災害対策用IBM i インスタンスには、PowerHA for iオプションの追加オーダーが必要です。
各インスタンスはIBM i のクラスター機能で互いの死活監視を行っています。災害・障害発生時には、クラスター機能でのスムーズなフェールオーバーが行えるようになっています。なお、ストレージとしてIASPを作成・使用する必要があることから、アプリケーションの実行・管理環境に対してIASPに対応するための設定変更が必要になるといった留意点があります。

4. PowerHA Tools for i FSR Manager
4つ目は、PowerHA Tools for i FSR Managerと呼ばれるソリューションです。
これはIBM Expert Labsが提供するサービス・アセットであるFSR (Full System Replication) Managerを活用するソリューションです。PowerHA SystemMirror for i 地理的ミラーでは、ストレージを分割してIASPの構成・使用が必須です。FSR Managerのソリューションでは、システム全体のストレージレプリケーションを実現でき、IASPの構成は必須ではありません。ストレージのレプリケーションはPowerVS GRS(Global Replication Service)を活用した非同期レプリケーションで実装されます。
FSR ManagerではControllerとなるIBM i インスタンスが別途必要です。このControllerはPowerHA for iクラスターによる冗長化がサポートされています。 災害対策側のIBM i インスタンスは通常はシャットオフ状態となり、通常時は割り当てるCPUやメモリーを小さくしておくことで、運用にかかるコストをできるだけ低減させるといったことも可能です。

5. HABPレプリケーション
5つ目はHABPレプリケーションです。
IBM i のジャーナル(DBジャーナル、監査ジャーナル)機能を活用することで、本番機でのデータ/オブジェクトの更新を災害対策機に伝搬(反映)させるソリューションです。ISV各社から有償のソフトウェアが提供されています。
IBM i におけるHA&DRソリューションとしてオンプレ環境でも幅広く活用されており、実績も豊富です。HABPソリューションによる複製は、OSよりも上位のレイヤーでの論理複製となります。そのため、OSやデータベース機能障害に対する可用性も担保されるソリューションと言えます。 また、実データではなくジャーナル項目の転送となりますので、ネットワーク帯域が限られた環境への適用にも向いていると言えます。

HA&DRソリューションの特徴や留意点を以下の表にまとめました。

求められるRPO/RTO並びにかかるコストなどを踏まえまして、お客様にとって最適なソリューションをご提案いたしますので、クラウド環境でのHA&DRご検討の際は、ぜひ私どもにお声がけいただけますと幸いです。
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